ブラックホールは存在し得るか?

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この疑問は、私だけの疑問と言う訳ではなく、WEBを探すと、同様の考え方に基づく説明を散見します。 しかし、ブラックホールの存在を既成事実として扱う立場が主流だと思われるので、私の疑問として整理してみます。

 !!注意!! 「私の疑問」であり、標準的な見解とは異なっている場合が有ります。

アインシュタイン方程式(重力場の方程式)の最も簡単な解は、回転の無い重力源Mの周辺の時空を表したもので、シュヴァルツシルト(Schwarzschild)の解と呼ばれています。
   (1)

ただし、
   (2)

   (3)

a:シュヴァルツシルト半径   c:光速   G:重力定数   M:重力源の質量

(1)式を変形すると、座標時間 (coordinate time) dt と固有時間 (proper time) dτ の関係を求めることが出来ます。
   (4)

座標時間 dt とは、重力源から無限に遠く離れたラグランジェ観測者( ≈ 我々)にとっての経過時間、固有時間 dτ とは、重力源Mから距離 r の位置で自由落下している状態のオイラー観測者にとっての経過時間を表します。
Wikipedia によると、ブラックホールとは、

極めて高密度かつ大質量で、強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出することができない天体である

と有ります。 一般に、ブラックホールと言えば脱出速度ばかりが注目されますが、ここでは進入速度について考えてみます。 (2)式より、ブラックホールの表面 ≡ 事象の地平線 (r=a) では、γ の値は0になります。これは、(4)式より、座標時間 dt がいくら経っても固有時間 dτ が少しも進まず、我々から見ると落下動作が凍り付いてしまうことを意味します。 つまり、我々にとっては、光を含む如何なる物質も事象の地平線を越えて移動することは未だかつて無かったし、将来も未来永劫あり得ないのではないでしょうか。

もし宇宙の最初からブラックホールが存在しており、大量の物質を吸引し続けていたとしても、その、本来の意味でのブラックホールの極近傍に物質が集められることは有っても、ブラックホール本体の質量が少しでも増加することはあり得ないのではないでしょうか。

宇宙の初期にはブラックホールが存在しなかったと仮定すると、ブラックホールは永久に誕生しないことになるのではないかと思われます。 なぜなら、(4)式の各項は全て2乗の項なので正であり、(4)式から求められる、落下運動する物体(dr, dθ, dφ ≠ 0)の固有時間 dτ の進み方は、静止した物体(dr = dθ = dφ = 0)の場合よりもさらに遅くなるからです。 これは厳密な証明では有りませんが、物質が重力収縮してほぼブラックホールに近い密度の天体が出来、さらにその天体に膨大な質量が降り積もっていったとしても、(4)式から、最後の一線を越えようとしたところで時間が止まり、事象の地平線が形成されることは永久に無いように思われます。

同じ Wikipedia の説明によると、ブラックホールには、

密度、重力が無限大である重力の特異点がある

とされています。 しかし、ブラックホールかブラックホールに近い密度の天体が有ったとすると、その天体の内部は表面より重力ポテンシャルが低いため、固有時間 dτ の進み方は表面よりさらに遅くなるはずです。 したがって、重力崩壊が起こったとしても、その天体の内部での物質の落下速度は、遠く離れた我々から見ると止まったように見えるはずで、我々が如何に長時間待ったとしても、特異点が形成されることは永久に無いように思われます。

ところで、「クルスカル・スゼッケル座標系」というものを考え出した人たちが居ます。 この理論に基づくと、

事象の地平線において計量は良い振る舞いをしていて特異点を持たない

とされています。 たしかに、この理論を追ってゆけば、ブラックホールに自由落下する物体は、有限の固有時間でブラックホールの中心まで落ちることができることが分かります。 しかし、同時に、ブラックホールから遠く離れた我々からみると、物体が事象の地平線に近づくと、その物体の固有時間の進み方が止まってしまうことも忘れてはならないと思います。 したがって、我々から見ると、物質が事象の地平線を越えたことは宇宙開闢以来いまだかつて無く、将来も永遠に無いという事実には変わりが無いように思われます。 一般的な見方とは異なりますが、私は、唯一事象の地平線こそが物理的に意味のある特異な場所ではないかと思います。

では、巨大な質量を持つ物質の重力収縮が進むとどうなるか? という疑問に対し、一般相対性理論を動的に厳密にシミュレートするプログラムを作成し、数値解析を行ってみました。

Request_May_05_2013.pdf

均質に球状に分布した、相互作用のない静止した粒子雲 (dust ball) の重力収縮が進み、その密度がブラックホールに近づくと、固有時間の進み方が極めて遅くなり、我々から見ると落下が空中で止まってしまったように見えることことが分かりました。

素朴な疑問 「ブラックホール中心に特異点は存在するか?」 に続く

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